クマだ、クマだ
2008年 09月 20日
スタッフのHさんが血相変えて飛び込んできた。
顔色悪く、大汗かいて、しどろもどろ。
「クマ、クマがいた。怖かった。近かった。木からおりてくるとき、目が合った!
私、頭白くなってない?」
(あまりの恐怖に一瞬にして白髪になっていないかと・・・明日のジョーじゃ
あるまいに)
みんなで、まぁ落ち着け、コーヒー飲め、座れ、と言っても興奮さめやらず。
なんとか、どこで、いつ、どんな状況だったかを聞きだした。
園内の一般案内するコースより少し上のトレイルで、ブナの木に登って
実を食べているところに出くわしたようである。
すごく怖がっているのに、つい「うらやましい」と思ってしまう・・・
ちょっと落ちついてきたら、「ぬいぐるみのファーファみたいだった。」と。
んー、やっぱりうらやましいよね。ここ数年は痕跡ばかりで、生のクマを見て
ないなぁ。ばったりは危ないから避けたいが、魅力的な生き物である。
今日案内したちびっこたちの見送りを済ませてから、現場を見に行こうと提案
したが、誰も反応してくれない・・・
もうクマは逃げて行ったはずだが、おとといクライマーの山野井さんがクマに
襲われて重傷、数日前に北海道でもヒグマに殺された方がいたことだし、念の
ため単独行動は避けたかった。
「もうクマいないと思うけど、一人で行かないほうがいいよねー」と視線を巡らすと、
Y主任がしかたなく腰をあげてくれました。
積雪期と違い、まだ葉が茂っているため、わかりにくく、丹念に探しながら
歩いたのに、一度目はスルー。折り返してさらに丹念に探したら、それらしき
木を発見。写真ではわかりにくいが、かなり高いところに枝折れ、枝を積んだ
ところを見つけ、近づいたら根元に落とした枝が散乱。幹には生々しい爪痕。
殻斗を噛み割って中の実だけ食べている。
クマの食い残しを試しに噛んでみたら、青みが残っているけど、もうかなり
固い。中身はしっかり詰まっていておいしかった。このへんはハムシの
被害が少なく、葉が青々している。
登りの爪痕。幅役12cm
自然に手を置いたくらいの大きさ。
下りの爪痕。
一通り撮影してから、クマの噛み跡のついた枝を持って帰ろうと、手ごろな
のを拾おうとしたら、フンも発見。未消化の殻がたくさん入っている。
1mくらいのところに4個点在。もしかして、気づかずに蹴散らしてた?
直径は4センチくらいありました。
大き目の2個をくまのあねごの研究用にお持ち帰りです。
クマは、強大な力を持ち、一撃で人間など重傷を負わされてしまう。
子連れや、あまりにもばったりと至近距離で会ってしまった場合は、クマ
も必死なので攻撃的になってしまうことがある。
クマは人間に会いたくないから、普段はなかなか会わないし、その痕跡
すら気づかないでいることがほとんどだけれど、山があればクマがいると
思っていいし、昨今では山奥よりも里近くの方が遭遇率高い。
一人で人の少ない時期、エリアを歩くときは、常に「クマいたらいいな」と
いう気持ちと「至近距離で会ったらどうしよう」という気持ちが錯綜する。
もし運悪く、お互いに気づかずに近づきすぎてしまった場合、どうなるか・・・
クマが攻撃的な場合、どうやって身を守れるか。
ベア・スプレー高くて買えずにいるし、せめてクマ鈴忘れずに持ち歩くように
しなければ。(効果がないという人もいるが)
うんはストレスからのウン飛ばし?はなだけだよね。
あとから探しに行った気持ちがよ〜く分かります。
写真が生々しいくらい鮮やかで、時間の経過の少なさを感じられたなぁ。
山野井さんも早く回復すると良いね。
試練が多い人だよなぁ〜。
今回も負けずにこれをバネにして生きていって欲しいね。
それにしても、クマ被害が多いね。もう少し彼らの森が必要だよね。
屋久島にはいないけど・・・
山野井さん、顔と右腕で100針近く縫ったそうです。壮絶!
今年はブナ、ヤマブドウ、コクワなど山の実りは悪くない感じなん
ですけどもねぇ。